乳がんライフ  ゆるゆる治療と暮らしの日記

左乳房のHER2、エストロゲン陽性 乳ガンステージ1(浸潤性乳管癌 invasive ductal carcinoma, IDC)。2021年10月に乳ガンと診断され、2022年1月に部分切除の手術を受けました。自分の備忘録なので、だらだらと文章が長く、面白くもないと思いますが、もし同病の方の参考にでもなればと思い、公開しています。コメント歓迎! \(^^)/

複雑な患者心

 病気について人と話していると、色々とアンビバレントな感情が湧いてくることがある。

 例えば、誰かが「りんごっこちゃんはステージ1で早く見つかってよかったね」と言う。慰め、元気付けようとしてくれているのだな、と思う。でも、ステージ1はステージゼロじゃないし、ガンはガン。再発や転移も十分にありうるし、今ステージ1だからって、そのまま軽く終わるとは限らないんだけどな、とも思う。

 脱毛についても似たようなことが。「後で必ず生えるから!」という励ましをよくもらう。わかっているよ、でも私は「今」ハゲているんだよ、これまで何週間もはげた頭で過ごし、これからも毎日その頭を鏡で見て、何ヶ月もウィッグで過ごし、1年以上たっても元の髪型には戻れないのよ、と思う。それなりにウィッグや帽子を楽しんでいることと、それとはまた別なのだ。

 また、「私の知り合いのなんとかさんは…」と病状の重い人を引き合いに出す。これも、りんごっこちゃんはそうじゃなくてよかったね、ということなのだろう。でも、聞いている私は、自分より重篤な人がいて、自分がそこまでひどくないことを喜ぶべきなのだろうか? 同じガンで、重篤な病状に苦しむ人がいることは、考えるだけでも辛いことだし、私だってこれから重症になっていくかもしれない。

 化学療法の副作用のことでも同じだ。私は治療が中断することもないし、副作用が少ない方だと思う。でも、「副作用がなくて元気だね! よかったね!」と言われると、ないわけじゃないよ、手が痺れて爪は変色して、顔はむくむし、シミは出るし、鼻血も出るし、髪の毛が抜けまくって、免疫も落ちて、お刺身や漬物やブルーチーズを我慢しているんだよ、と思う。「化学療法が終わってよかったね」と言われるのも、まだ全部終わったわけじゃないよ、これから放射線が30回、ハーセプチンの点滴も来年の春まで、ホルモン剤を5年か10年飲むんだよ、それで検査もあって、結果が悪けりゃもっともっともっと治療が続くんだよ、と思ってしまう。

 私の周りだけの印象だが、ガンの先輩はそういうことを言わないな、と思う。聞いたことには答えてくれるけど、「自分の時はああでこうで」と語る人はあまりいないし、自分の病状と私の状況を比べたりもしない。

 「でも」と思うなら、それを相手に率直に話すべきなのかもしれない。なんとなく言えないのは、ポジティブに話して、私を元気付けたいという相手の気持ちがあるからかな。「よかっったね」と言われちゃうと、そこで「うん、そうだね、ありがとう」で終わってしまう。そういう会話の流れが、もう決められているように感じてしまうのだ。

 同じ「ポジティブ」でも、治療や検査に対する好奇心を共有してくれる友人と話すのは楽しい。私自身が、恐れたり不安になったりするよりも、「なにをするんだろう?」「どうなるんだろう?」という好奇心の方がずっと大きい。だから病院通いもそれなりに楽しいのだが、それを「楽しいなんて、ありえない!」と否定する友人もいる。そうすると、病気の話はそれ以上できなくなっちゃう。でも、「こんなことがあったんだよ!」「へえ〜、すご〜い! それで??」と乗ってきてくれると、あれこれ話せて、客観的にもなれるし、普通に話題にできて気が楽になる。同じ好奇心でも、詮索してこられるのは不快でしかないけど。

 はあ〜。自分でも面倒くさいやつだと思う。でも、こういう気持ちを忘れないでいよう。私が、他の病気の人と話す時のために。